審美歯科

前歯の隙間と変色の物語タイトル:鏡を見るのが苦痛だった30年間。前歯のコンプレックスを「自信」に変えた、ある女性の決断

1月ももう終わり。
ついこの間、神田明神にお参りに行ったと思っていたのですが
年々時の過ぎるのが早く感じます。

こんにちは、山の手デンタルクリニックです。

先日、50代後半の女性が、意を決したような表情で診察室の椅子に座られました。
彼女は当院に長年通ってくださっている方でしたが
これまでは「痛みが出たところを治す」だけの最低限の治療を希望されていました。
しかし、その日は少し様子が違いました。

「先生、実は32年前、ここが開業したばかりの頃から相談しようと思って
 ずっと言えなかったことがあるんです」

彼女が指差したのは、上の前歯でした。20代の頃に受けた治療の跡が変色し
歯茎との境目が黒ずんでいます。
さらに、年齢とともに歯茎が少しずつ下がり
隣の歯との間に目立つ隙間ができていました。

「笑う時に無意識に手で口を隠してしまうのが癖になってしまって。
 写真に写るのも、いつの間にか大嫌いになりました。
 でも、もうすぐ還暦でしょう? 
 今さら綺麗にしても、誰が見るわけでもないし……」
と、彼女は寂しそうに笑いました。

私は彼女の目を真っ直ぐ見て、こうお伝えしました。
「誰が見るかではなく、鏡を見た時のご自身がどう感じるかが一番大切なんで す。これからの20年、30年を、ずっと口元を隠して過ごすのか
 それとも思い切り笑って過ごすのか。
 その差は、人生の質において計り知れないほど大きいものです」

数週間後、精密な型取りを経て、彼女にふさわしい透明感のあるセラミックの歯が完成しました。
装着した瞬間、彼女は震える手で鏡を手に取りました。
「……先生、これ、本当に私の歯ですか?」

鏡の中にいたのは、口元を隠す必要のない、輝くような笑顔の女性でした。
後日、メンテナンスに来られた彼女は、以前よりずっと明るい色の服を着て、華やかな口紅を塗っておられました。
「先生、最近は孫と一緒に自撮りをしてるんですよ」と笑う彼女の姿に、歯科医師としての誇りを再確認しました。