一般歯科

痛みの向こう側にあるものー治療が進まない患者さん達ー

こんにちは、山手デンタルクリニックです。

今回は、「治療が進まない患者さん達」というテーマでいくつかのお話を書いていきます。

第一話 「痛い」という言葉の裏にある不安

「先生、やっぱり痛いんです。」

右下の小臼歯
ともとも失活していた歯に痛みが出て、根管治療を続けている。

レントゲンを撮っても、特別な透過像は見えない。

コツコツ軽く叩いても痛くはない。
そして、腫れもない。

それでも、彼は毎回「痛い」と言う。

毎回、麻酔をして根管治療を行い
カルシウム製剤を使い、硬いセメントで仮封しても症状は変わらない。

痛みの度合いは日によって違い
「今日は平気です。」
「やっぱり痛いです。」と波がある。

このタイプの患者さんに共通しているのは
「痛み=異常がある」と思い込んでいること。
医学的な説明よりも
「痛みの存在が不安の象徴になっている」状態。

つまり
「治らないこと」への不安が「痛み」という形で出ている。

歯科医として、痛みを訴えられれば「何かしなければ」と思う。
でも本当は
必要なのは治療よりも安心感

「治療がうまくいかない」のではなく
「心が治療を受け入れていない」場合もある。